地球上でもっとも大きな単一乾燥地域であるサハラ砂漠は、北大西洋上空に中心を持つ高気圧により、乾燥した高温の北東風が一年中吹いています。ハルマッタンと呼ばれるこの北東貿易風は北緯約約10度まで拡張したサハラ西部地域にて、10月から5月までの8か月間継続します。ハルマッタンが終わり、夏が訪れると、温暖多湿な南西の風がサハラ南部に影響を与えます。
Major Source areas of Saharan dust. Solid circles indicate the location of stations
in the African turbidity network. The locations Bilma and some mountains and mountain chains
Tassali N' Ajjer (TN), Tibesti (T), Hoggar (H), Air (AIR), Adardes Iforhas (AI), and Ennedi (E) have
strategic importance for the dust transport (modified from D'Almeida, 1986)
サハラ及びサヘル地域は、スペイン領サハラから北モーリタニアまでの1地域、ボガール山地、Adar des Iforhas及びAir mountains、northeast of Gao (マリ)により三角形を成すアルジェリアに位置する2地域、チャドのティベスティ山地西側地域を抜け、Dirku北部から北東部とMilna北部(ニジェール)に位置する3地域、並びにスーダン北部とエジプト南部に位置する4地域の、主な4つの発生地で構成されています。この地域における砂嵐と関連する気象条件は、冬季の地中海低気圧と大西洋低気圧等の偏西風からの低圧部に起因するものです。
サハラの地形は、岩石砂漠、gravely soils、ローム土壌、塩砂漠、砂砂漠等の様々な形態が混合した複雑なものであるため、サハラにおける正確な発生地を明らかにする事は容易ではないものの、最も重要な発生地域は1、2、3地域であり、それぞれ年間200Mt以上の砂が生成されている反面、4地域での砂生成量は比較的少なくなっています。サハラ並びにサヘル地域からの砂の移動は、年間を通じて見られますが、特に3月から6月にかけて強まります。サヘル地域とギニア湾に向かって南進する砂の移動は、4つの地域全体で発生し、冬季に頻発しています。南へ向かう砂の年間の総量は約380Mt、大西洋へ向かう西向きの砂は南向きの半分程度である190Mtです。 北向きは約100Mtである一方、東向きは非常に少量であり、南向きの5%(380Mtのうち16Mt)のみが北緯5°に到達する一方、西向きの75%(190 Mtのうち143 Mt)は北大西洋に沈積します。
(Shao、2000)